『20歳のソウル』Production Notes

2022.04.27
最新情報
映画のダイナミズムを支えるスタントチーム

皆さん、こんにちは。

中井由梨子です。

 

このプロダクションノートも90回を迎えました。

毎日毎日読んでくださっている皆様、ありがとうございます!

 

今日から1ヶ月後の5月27日、いよいよ「20歳のソウル」公開となります!

 

このノートでも、多くのスタッフの皆さんをご紹介してきました。

今日は、とても大切なセクションを担ってくださった

アクション・スタントチームをご紹介させてください。

 

「20歳のソウル」でスタント?アクション映画じゃないのに?

そう思われる方も多いかもしれません。

しかし映画でのスタントチームは、単に派手な殺陣や身体を使ったアクションだけでなく、

危険な高い場所での撮影や、車の走行・運転シーンでの牽引なども担っているのです。

 

今回、そのスタントをお願いしたのは秋山監督と旧知の仲、シールズの高橋昌志さんです。

 

 

高橋昌志さんは、秋山監督がテレビドラマのディレクターを務めていた頃から、

カーアクションや水中撮影など、カッコ良いアクションシーンを彩ってこられました。

 

 

そして「20歳のソウル」では、その全幅の信頼に応えて、

前述のような高所、車のシーンを安全に円滑に進められるよう段取ってくださいました。

 

どのシーンかは、映画をご覧になった際に探してみてください!

ヒントは、どのシーンにも、斗真(佐野晶哉さん)が登場しています☆

 

 

「スタントマンというのは、誰よりも慎重で怖がりじゃないといけないんです。命知らずに無鉄砲に突き進んでしまったら必ず怪我をする。ダメだと思ったら無理をしない。じゃないと命がいくつあっても足りないでしょ」

 

 

そんなことを昌志さんが以前仰っていました。

 

スタントマンはカッコよくて怖いもの知らず、勇気があってどんな難所にも果敢に、人間ができる技の限界に挑む人たちです。けれど、だからこそ、たった一つの命の尊さをしっている。そんな気がします。

 

 

 

ここで、ある方をご紹介させてください。

 

私は以前、高橋昌志さんの弟さんで、同じスタントマン出身でありプロ級のサーファー、映画プロデューサーでもあった高橋幸司さんの手記の出版で、構成として関わったことがあります。

 

 

末期の肝臓がんにより48歳の若さで余命2ヶ月と宣告された幸司さんが、それから1年半という年月を生き永らえ、命とギリギリまで向き合った力強い記録です。

 

「まだ望みはあります」高橋幸司著(さくら出版)

http://sakurasha.com/2019/05/%e3%81%be%e3%81%a0%e6%9c%9b%e3%81%bf%e3%81%af%e3%81%82%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%99/

 

幸司さんが病床でつぶやいた言葉。

 

「俺も映画撮らなきゃな。こんなとこで寝てる場合じゃない」

 

幸司さんは2019年5月30日に、大義くんと同じ場所へ逝ってしまいました。

心のどこかで「幸司さんなら大丈夫」と思っていた自分がいて、私は呆然としました。

 

たった一つの尊い命。

 

映画「20歳のソウル」の脚本は、幸司さんの取材で共に過ごした時間に支えられて描いています。治療の様子も病と向き合う怖さも。失った時のなんとも表現できない空しい想いも。

 

あの日、幸司さんがつぶやいた言葉を引き継いで、まだこの世に留まっている監督と私は、映画を作りました。希望の映画を作りました。

 

 

大義くんと一緒に、幸司さんが見てくださっていることを願います。

©2022「20歳のソウル」製作委員会